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相続税申告 (23)譲渡所得税を軽減する代償分割の方法

【相続した不動産を売却し金銭を分配したい場合、どうしたら良いでしょう】

被相続人Aが死亡しました。遺産総額は7,000万円
(小規模宅地等の特例適用前)
  法定相続人: 妻B・長男C
 【相続財産】 ①現金等金融資産 3,000万円
        ②自宅の土地と建物(相続税評価額4,000万円/時価5,000万円)
         ※土地の相続税評価額 10万円/㎡ 面積330㎡
 【居住状況】・被相続人Aの自宅建物には、配偶者と二人で居住
       ・長男Cは自分で自宅を所有している
       ・相続後に被相続人Aの自宅を売り、
        長男Cの家をリフォームしてBと同居予定
       ・土地と建物の取得費は2,000万円、居住年数は10年超

分割案① すべての財産を法定相続分(1/2)で妻Bと長男Cで共有で分割する。
分割案② すべての財産を妻Bが相続。代償債務で長男Cに3,500万円交付。

相続税の比較
分割案① 小規模宅地等の特例が妻Bにしか使えない!
妻B  3,500万円-1,320万円(小規模宅地等の特例)=2,180万円
長男C 3,500万円
合計  2,180万円+3,500万円=5,680万円  相続税額:74万円
                             (配偶者の税額軽減適用後)

分割案② 小規模宅地等の特例を最大限に活用!
妻B    3,500万円-2,640万円(小規模宅地等の特例)=860万円
長男C   3,500万円
合計    860万円+3,500万円=4,360万円  相続税額:8万円
                             (配偶者の税額軽減適用後)

 小規模宅地等の特例が最大限活用できる分割案Bの方が有利!

譲渡所得税の比較
※長男Cは被相続人Aの自宅には一度も居住していない。
分割案① 譲渡所得税の特例が妻Bにしか使えない!
    (譲渡収入)   (取得費)    (特別控除)   (課税所得)   (譲渡所得税)
妻B  2,500万円 1,000万円 1,500万円      0円    0円
長男C 2,500万円 1,000万円      0円 1,500万円 300万円

譲渡所得税額:300万円
(居住用財産の3,000万円の特別控除及び居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用)

分割案② 譲渡所得税の特例を最大限に活用!
    (譲渡収入)   (取得費)    (特別控除)   (課税所得)   (譲渡所得税)
妻B  5,000万円 2,000万円 3,000万円     0万円    0万円

譲渡所得税額:  0万円
(居住用財産の3,000万円の特別控除及び居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用)

 譲渡所得税の特例が最大限活用できる分割案Bの方が有利!

居住用資産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除 (租税特別措置法第三十五条) 条文を確認!
 居住用不動産を譲渡した場合には、譲渡収入から3,000万円の特別控除を受ける事により譲渡所得税を軽減する制度です。 譲渡益が3,000万円以下なら、譲渡所得税がかかりません。

居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例
(租税特別措置法第三十一条の三) 条文を確認!
 譲渡した年の1月1日において10年以上保有している居住用財産を譲渡した場合には、長期譲渡所得の税率が軽減されます。
 一般の長期譲渡所得に対する税率  一律20%(住民税率含む)
 特例における長期譲渡所得に対する税率
      長期譲渡所得が6,000万円超  20%(住民税率含む)
      長期譲渡所得が6,000万円以下 14%(住民税率含む)

 相続の後に譲渡を予定している場合には、相続税に加え、譲渡所得税も考慮した上で遺産分割をする必要があります。遺産分割の仕方によって、相続税だけでなく、譲渡所得税、そしてその後の所得税なども変わってくるのです。
 安易な考えで分割してしまうと、様々な税金に影響が出てくることを認識ください。

平野由美子税理士事務所

〒452-0844
愛知県名古屋市西区上橋町138番地

TEL 052-880-1593
税理士 平野由美子

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