2016年9月16日 申告、届出等の添付書類はPDFデータで提出可能!
e-Taxで申告、申請・届出等を行う場合、別途郵送等で書面により提出する必要がある添付書類について、書面による提出に代えて、イメージデータにより送信することが順次できるようになっていきます。
平成28年4月1日(金)からは、法人税・消費税(法人)・酒税。
平成29年1月4日(水)からは、所得税・贈与税。
法令の規定により原本の提出が必要とされている第三者作成の添付書類のみが対象となります。
すでに、省略可能とされているものや、電子データを作成して送ることとされているものは対象外です。
ただし、参考資料として提出するものについては、引き続き提出しなければならないようです。
とても便利になりますが、登記情報や戸籍、住民票などを取得しなければならないという点は変わりません。
詳細は、国税庁e-taxのホームページで確認できます。
e-tax:添付書類のイメージデータによる提出の受付を開始します。(平成28年3月22日)
2016年6月30日 出国税って?
出国税ってご存知でしょうか?
所得税法の特例で「国外転出をする場合の譲渡所得等の特例」、が正式な名称です。
平成27年7月1日以後に日本から外国に移住する一定の居住者が、1億円以上の有価証券等対象資産を所有する場合に、その対象資産の含み益に所得税及び復興特別所得税が課される制度です。
適用税率は原則として15.315%(復興特別所得税を含む)の税率が適用されます(個人住民税は課されません)。
最近では、海外転勤も多くなり、私の友人も多くが海外転勤経験があるため、転勤するたびに未実現の利益に対して所得税申告しなければならなくなるなんて大変だな、と税制改正大綱を読んだ時に思ってしまいました。
ただ、この課税の対象者は、平成27年7月1日以降に、国外転出する時に1億円以上の有価証券等を所有している人で、原則として国外転出の日前10年以内に、日本国内に住所・居所を有していた期間が5年を超える人です。
一般的なサラリーマンで、海外転勤時に1億円以上の資産を持っていなければ、申告する必要はありません。
対象資産は、有価証券、匿名組合出資持分、未決済信用取引等、未決済デリバティブ、未上場の株式や公社債などです。
対象者は原則として出国時に確定申告しなければなりませんが、納税管理人の届出をし一定の手続きして納税を猶予することもできます。
この場合、国外転出の日から原則5年間(延長の届出により最長10年間)、納税を猶予することができます。
また、5年以内に帰国した場合で、そのまま売却せず所有している場合には、国外転出時課税の適用がなかったものとして、課税の取消しをすることができます。
そのほかに、含み益を有する対象資産を贈与、相続および遺贈によって非居住者に移転した場合にも同様の適用(「贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例」) があります。
グローバル化に伴い、税制もどんどん変わっていきます。
上記の特例対象者でない方も、海外赴任時には納税管理人を定めておいた方が良いケースも多いため、国外転居が決まったら、一度ご自身にまつわる税金について確認した方が良いと思います。
2014年1月23日 平成26年度税制改正(相続税・贈与税関連)
平成26年度の税制改正の内容を整理してみましょう。
(1)医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予の創設
■相続税の納税猶予
相続人が持分の定めのある医療法人の持分を相続または遺贈により取得した場合において、その医療法人が相続税の申告期限において『認定医療法人』であるときは、担保提供を条件に、当該認定医療法人に係る相続税額については、移行計画の満了までその納税を猶予し、移行期間内に相続人が持分のすべてを放棄した場合には、猶予税額を免除する。
■贈与税の納税猶予
持分の定めのある医療法人の出資者が持分を放棄したことにより他の出資者の持分の価額が増加することについて、その増加額に相当する額(経済的利益)の贈与を受けたものとみなして当該他の出資者に贈与税が課税される場合において、その医療法人が認定医療法人であるときは、担保提供を条件に、当該出資者が納付すべき贈与税額のうち、その経済的利益に対応する贈与税額については、移行計画の期間満了までその納税を猶予し、移行期間内にその持分のすべてを放棄した場合には、猶予税額を免除する。
(2)相続税の取得費加算の特例の見直し
相続財産である土地等を譲渡した場合の譲渡所得税の特例について、譲渡所得の金額の計算上、取得費に加算する金額を、その譲渡した土地等に対応する相続税相当額のみとする。
<現状の譲渡所得の計算>
売却代金 ― 取得費 ― 取得費加算額(すべての土地等に対する相続税額) ― 諸費用等
<平成27年1月1日以後の相続財産に係る譲渡所得の計算>
売却代金 ― 取得費 ― 取得費加算額(売却した土地等に対する相続税額) ― 諸費用等
2013年11月14日 「賃貸不動産で節税」の前に
11月13日の日経新聞に、「賃貸不動産で節税」の前に という記事が載っていました。
相続税を節税するためには、借入をして大きなアパートやマンションを建てるのが一番だと思っていらっしゃる方は、今でもたくさんいらっしゃっる気がします。
ただ、アパートやマンション経営も、「事業」であり、建てたら節税できるというだけではなく、建てた後、「経営」をしていかなければならないということを無視してしまっている人が多く見受けられます。
「一括借り上げだから大丈夫」は間違いです。
一括借り上げだとしても、退去時の修繕や、外壁などの大規模修繕など、経営判断を伴うことは多いものです。
年金受給権評価での節税もなくなり、今、相続税対策をするなら何をすべきか。
やはり、早いうちから計画を立てて贈与や資産の形を税金が少なくて済む形に変えていくことが一番大事だと思っています。
ただし、早いうちから先の相続のことを考えると、家族の状況などに応じて変更していく必要が出てきます。
その時に困らないように、臨機応変に対応できる状態にしておくのも大事です。
これをすれば相続税対策になる!というものは、ないと思っています。
家族の状況や、資産の状況に応じて、その家族にとって一番いい形を考えていくのが税理士の仕事だと思っています。
私の知識や経験が、納税者の方々のお役に立てるように、これからも日々精進してまいりたいと思います。
2013年9月6日 相続時、未支給の共済年金の税金
公的年金は、原則として2か月毎支払があり、その月と前月分が偶数月に振り込まれます。そうすると、奇数月に亡くなった場合には当月分が、偶数月になくなった場合には2か月分が未支給になる場合が多い。
平成7年11月7日の最高裁の判決で、国民年金の未支給年金について相続財産性が否定され、その未支給年金の税金については相続税の対象とするのではなく、相続人固有の権利として相続人の一時所得として所得税を課税するということになっている。
国税庁の質疑応答事例を見ても、国民年金法における未支給年金は遺族の一時所得になる、とある。
さて、国民年金の未支給年金については明らかになっているが、共済年金についてはどうだろうか。
国民年金法と厚生年金法については、記述の仕方が異なるものの、おおむね同じような条文構成になっていて、次のような特徴があります。
①「未支給年金(国民年金法19条)」「未支給の保険給付(厚生年金法37条)」という条文がある。
②上記は遺族が「自己の名で」申請できる。
③上記の給付に関する条文は生活保障の目的から設けられている。
④未支給年金請求権は、被相続人の財産とは考えにくい。
しかし、共済年金法は違うのです。
①未支給の年金についての条文はない。
②「年金の支給期間」という条文の中で年金は死亡の月まで給付する、という規定になっている。
③「支払未済の給付請求書」を提出して請求する。
④国民年金や厚生年金のように受け取る人に制限がない。
※ただし、JR,JT,NTTの共済年金は請求する用紙も国民年金や厚生年金と同じ用紙である。
条文だけを読むと、未支給の共済年金を相続人固有の権利と捉えることは、いささか難しいように感じる。
税研のホームページでも共済年金の未支給年金については相続人の一時所得だと当たり前のように記載されている。
本当にそうなのだろうか。とてもグレーな部分である。
ただ、相続人の一時所得として課税された方が相続人にすると有利ではある。
一時所得には特別控除が50万円あり、未支給年金が50万円を超えることは少ないからだ。
税金って、本当に難しい。
たぶん税務署に聞いても、相続人の一時所得と答えるだろう。
そうであれば、一時所得として申告すべきなのかもしれない。
2013年1月9日 相続財産を寄付(遺贈)したい場合
相続財産をお世話になった方々や団体に寄付をしたいと考える方も多いでしょう。
相続財産を遺言で寄付するように指定したい、と考えた場合、遺言を書く際にしっかり準備しないと、思ったとおりに寄付が行えなかったり、寄付をした方々や団体を困らせてしまう結果になる可能性があります。
例えば、同窓会やサークル、PTAなどは、遺贈を受けたりすると、個人とみなして相続税がかかる場合があります。(相続税法第66条)
不動産や株式などを寄付(遺贈)したいと考えると、みなし譲渡といって、譲渡所得税の対象となる場合があります。(所得税法第59条)
非課税になる国や地方公共団体等への寄付(遺贈)を検討されている場合でも、事前に本当に非課税の対象になるかどうかを検討しておく必要があります。(相続税法第12条・租税特別措置法第40条・租税特別措置法第70条)
例えば、上記で同窓会などは相続税がかかる場合があると書きましたが、相続人が相続税の申告期限までに相続財産を公立の学校等国又は地方公共団体の設置する施設の建設又は拡張等の目的をもって設立された後援会等に寄付(贈与)した場合、その贈与財産が最終的に国又は地方公共団体に帰属し、又は帰属することが明らかな場合には、当該寄付(贈与)は、措置法第70条第1項に規定する国又は地方公共団体に対する贈与に該当するものとして非課税になります。
場合によって、税金のかかり方が異なり、大変難しいため、しっかりと専門家と検討の上、遺言を書かれる方が安心です。
2013年1月7日 公的年金等が400万円以下で所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告が必要な場合があります!
税制改正により公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下で、かつ、公的年金等に係る雑所得以外の他の所得金額が20万円以下の方については、平成23年分以降の所得税の確定申告が不要になりました。
ただし、所得税の還付を受けるための確定申告を行うことは可能です。
確定申告不要制度により確定申告を行わなかった方のうち、
●公的年金等に係る雑所得以外の所得がある方は、住民税の申告が必要になります。
●控除内容に変更または追加のある方は、住民税の申告が必要になる場合があります。
年金からは公的年金源泉徴収票に記載してある控除に基づいて源泉徴収されています。
20万円以下は申告不要、というのはあくまで所得税の確定申告の話ですので住民税は異なります。
★確定申告をする事で年金から源泉徴収されている税額が還付される方
⇒申告不要でも、所得税の確定申告をすると、還付されます。
★住民税だけは申告しなくてはいけない方
(公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合でも、その所得を足すと住民税額が増えてしまうような場合)
⇒住民税の申告をします。
2012年12月31日 白色申告でも、記帳が必要になります!
事業を始めたばかりの方や、今まで白色申告で確定申告をしてきた方などの中には、青色申告と白色申告の違いについてあまりよく分かっていないという方も多いかと思います。
青色申告とは、一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告をする人については、所得金額の計算などについて控除ができるなど有利な取扱いが受けられる制度です。
白色申告をしている方の場合、確定申告のときに、領収書の合計額を計算するだけで所得を計算している方もいることでしょう。
今までは、白色申告で、所得が300万円以下の納税者には、記帳義務が課されていませんでした。
ところが、26年1月からは、白色申告で所得300万円以下の納税者にも、記帳・保存しなければならなくなります。
売上げなどの収入金額、仕入れや経費に関する事項について、取引の年月日、売上先・仕入先その他の相手方の名称、金額、日々の売上げ・仕入れ・経費の金額等を帳簿に記載します。
記帳に当たっては、一つ一つの取引ごとではなく日々の合計金額をまとめて記載するなど、簡易な方法で記載してもよいことになっています。
【帳簿・書類の保存期間】
保存が必要なもの |
保存期間 |
帳簿 |
収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿) |
7年 |
業務に関して作成した上記以外の帳簿(任意帳簿) |
5年 |
書類 |
決算に関して作成した棚卸表その他の書類 |
5年 |
業務に関して作成し、又は受領した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類 |
所得300万円以下の白色申告者でも記帳義務があるのであれば、現在白色申告で確定申告をしている方も、一定水準以上の記帳をし、青色申告に変更するという検討をしてもよいのではないかと思います。
もし、青色申告のやり方について疑問を持っているのであれば、お気軽にご質問ください。
記帳が義務化されるのは、平成26年1月ですので、あと1年間は検討する時間はあります。
しかし、平成25年1月から青色申告に切り替えるのであれば、平成25年3月15日までに「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。ご注意ください。