遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならないとされています。
普通に考えると、認知症になれば遺言を残す能力がないのではないかと考えるでしょう。
裁判では、認知症でも遺言を認めた例も、認めなかった例もあります。
初期の認知症の場合、症状が軽い時間もあるでしょうから、一概に認知症だから判断能力がないとは言えないのでしょう。
民法で規定する意思能力は、遺言をする時点での意思能力であり、普段の意思能力ではありません。
認知症の度合いや能力によって大きく異なるのが現実のようです。
もしも、既に認知症の診断を受けた後でも遺言を残したいと考えたなら、
万が一裁判になっても意思能力が判断できると証明できるものを合わせて残しておくと良いかもしれません。
例えば、遺言を残す時にそのやりとりを録音や録画しておく、意思能力の状況について医師の診断書を付ける、
といった対応をするということです。
ただ、認知症になってから作成した遺言でも、相続人が異議を申し立てなければ、そのまま遺言として有効です。
(民法第963条)