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生前対策 (9)建物を建てるメリット

 『相続税の節税対策としてアパートを建てた』という話を聞いたことはありませんか?
 相続税の節税対策の王道として、今もなお、多くの方がこの節税対策をしているのが現状でしょう。 では、なぜ建物を建てると相続税が下がるのでしょうか?

 ポイントは、『現金』という資産から、『建物』という資産に、相続財産が変化する所です。
例えば、1億円の現金で建物を建設したと仮定しましょう。

上記のように、資産の形態を変えることで、4,000万円の相続財産の圧縮ができていることになります。

 さらに、賃貸アパートや賃貸マンションのように、人に貸す場合には、借りている人の借家権を控除することができ、 約4,200万円まで相続財産を圧縮でき、1億円の半分以下の評価額になります。

(愛知県の場合、借家権割合は30/100です。)
 このように、資産の形を建物に変更するのは、相続税の節税対策としては有効です。

 例えばご子息に新居を建てる場合などにも、新居を建てる現金を渡すと、多額の贈与税がかかってしまいますが、 ご両親がご両親のお金で建物を建ててから、贈与したり、相続の時に名義を変えたりすれば、余分な税金を支払う必要がなくなります。

 相続税以外にも、住宅を建てるメリットはあります。例えば、固定資産税対策です。
固定資産税におけるメリット
 きれいな更地には高い固定資産税がかかりますが、 住宅用地については、その税負担を軽減する必要から課税標準の特例措置が設けられており、 小規模住宅用地あるいは一般住宅用地の特例による税負担の軽減措置があります。
固定資産税課税標準額=評価額×住宅用地特例率
(固定資産税は、固定資産税課税標準額に税率を乗じて求められます。)

区分住宅用地特例率
固定資産税(1.4%)都市計画税(0.3%)
小規模住宅用地(戸数×200㎡まで)1/61/3
一般住宅用地1/32/3

 相続税を計算する際の相続税評価額は、財産評価基本通達にその評価方法が記載されています。その通達において、資産ごとに評価の仕方が違っているので、上記のように同じ1億円が形を変えるだけで、財産評価額が違うということが発生するのです。
 このような評価方法を理解して、相続や贈与などの資産の移転方法を考える必要があります。
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