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生前対策 (6)生命保険の活用

相続税対策としての生命保険
非課税枠の利用
資産の圧縮による財産移転

納税資金対策としての生命保険
資金を凍結する

もめない対策としての生命保険
財産の帰属を特定できる

■非課税枠の利用
相続税の計算では、生命保険について「500万円×法定相続人の数」という金額が非課税になります。
これは、相続人一人あたり500万円という訳ではなく、 全員で「500万円×法定相続人の数」までとなります。

例えば、
相続人3人ですが、生命保険の受取人が長男一人で2,000万円だった場合、
長男が受け取り2,000万円のうち1,500万円(500万円×3人)が非課税になり、500万円が課税対象になります。

持病があるから終身保険には入れない、高齢だから保険は無理だろうとお考えの方でも、 個人年金保険の死亡給付金を利用すれば、この非課税枠を利用できる場合がほとんどです。 個人年金なら健康状態を問わないものがほとんどです。

相続税対策をする上では、簡単にすぐできる、やらなければもったいない対策になります。

■資産の圧縮による財産の移転
平成22年の税制改正により相続税法第24条が改正され、年金受け取りに伴う以前のような大幅な評価の引き下げができなくなりました。 しかし、生命保険の形態により資産の圧縮が可能なものはまだあります。
年齢・性別を問わず、払い込んだ金額のほぼ100パーセントが解約時に戻ってくるような保険商品です。 もちろん保険ですので保険を継続している数年間は大きな保障もついてきます。

例えば、低解約返戻金の生命保険などはその一例です。

(例)5年間解約返戻金を抑える生命保険(子供が被保険者)で
5年の間に相続が発生した場合
契約時     相続時(解約返戻金評価)   受取時
1,000万円 → 700万円          → 1,100万円
        ⇒30%の資産圧縮ができます!

■資金を凍結する
相続税の納税資金を蓄えたい場合、その資産運用の方法は様々です。 ただし、株式の運用など、変動が激しいもので納税資金を準備している場合、万が一相続が発生した時に株価が激減した!なんてこともあります。
相続はいつ発生するか分からない事象であるため、安全な運用が必要です。
納税資金を準備する場合、生命保険で運用する場合、一番大きなリスクは生命保険会社の倒産リスクでしょう。
それさえクリアすれば、銀行預金よりは多少大きな利率で運用されますし、なにより解約が面倒なので、相続までそのまま現金を凍結することができ、 無駄にお金を使い込んでしまうことが減ります。(契約者貸付などは使わないことが前提です。)

■財産の帰属を特定できる
一般的な日本人であれば、資産のほとんどを不動産が占めています。自宅以外に大きな資産を持っていないということもよくあることでしょう。 しかし、兄弟が何人かいれば、この価値を分割して相続することになりますが、不動産を分割することは不可能であったり、 その不動産自体の価値を下げてしまったりします。また、兄弟同士が自分が相続する権利を主張することは当たり前のように起こっています。 ご家族がもめてしまうことは、被相続人にとっても家族にとっても、望むべきことではありません。

生命保険の契約では、契約時に、その保険金の受取人を決定します。 また、その相続人が受け取る死亡保険金は、その相続人の固有の権利となり、その相続人の財産となります。
相続が発生するまでは、被相続人の財産ですが、相続が発生したと同時に、相続人の財産となるということです。
被相続人が計画的に、資産に名前付けができるという訳です。

しかし相続後に家族が揉めないようにするためには、生命保険だけでは不十分でしょう。遺言などと組み合わせて、計画的に相続の準備をするようお勧めします。

 生命保険は、相続税対策においてとても重要なものです。 一社だけでなく、さまざまな会社の生命保険を検討し、一番そのご家庭に合った生命保険の掛け方を考えたいものです。
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