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生前対策 (8)現金の贈与

 贈与が行われた場合、原則として贈与税が課税されます。
 相続時精算課税制度などの特例を利用しない場合のその贈与のことを、「暦年課税の贈与」「暦年贈与」といいます。 その暦年課税の贈与税の計算において、基礎控除額が110万円あり、110万円までは贈与税かかからないことになります

この「110万円」はもらった人を基準に考えます。
まれに、たくさんの人から110万円ずつもらえばいいと考える方もいらっしゃるようですが、それでは贈与税が課税されます。
父 110万円    父 110万円      父 50万円    父 60万円
  贈与      贈与          贈与     贈与
    子供 220万円受取           子供 110万円受取
    (贈与税がかかる!)          (贈与税がかからない)

相続税の計算上、相続前3年以内の相続人に対する贈与などは相続税の課税価格に含めて計算します。
しかし、相続はいつ起こるかわからないものです。
被相続人の財産を減らす手段としては、とても有効です。

ポイントは
相続税の税率と、贈与税の税率を比較して、贈与金額を決めていく!ことです。

もうひとつ、重要なポイントがあります。
扶養義務者の生活費・学費などは、非課税  (相続税法第二十一条の三) 条文を確認!  です。
扶養義務者とは、原則として「直系血族」と「兄弟姉妹」(民法第877条)のことです。 ですから、お孫さんにかかる学費や仕送りなどを祖父母が払っても特に税金はかかりません。
子供一人一人暮らしで大学に通うと、1,000万円かかってもおかしくありません。大学や学部によってはそれ以上でしょう。 その金額を祖父母が出せば、相続財産を1,000万円減らすこととなるのです。

社会通念上相当と認められる祝物等のための金品も、非課税です。 お祝いの金額は、ご家族によって大きな違いがありますが、 折に触れて、お孫さんにお祝い金を渡すのも、相続財産を減らすことにつながります。

年々、相続税の大幅節税ができる手段が減っているなか、やはり大事なことは少しずつの積み重ねではないでしょうか。

 相続税の節税対策の相談を受ける際に、一括で贈与したり一気に相続税を引き下げるウルトラCのような手段はないかと よく聞かれます。
 みんながこれはすごい!と思うような節税対策は、かなり税制改正でシャットダウンされてきました。 そんな中で、やはり強いのは継続してコツコツ贈与していたり、常に税制改正などに注目し、対策を練り直すなど、 長期的に節税を図っている方々です。
 60歳から相続税対策を始めれば、20年~30年の長期で対策を練ることができる場合も多々あります。 もっと早くから始めれば、もっと長くなります。
 110万円なんて相続財産に比べたら小さい金額と思われる方も、少しずつでも、 組み合わせながら節税を図っていくのは重要ではないかと考えています。
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