◆青色申告制度
(所得法第百四十三条)
個人事業主の場合、正しく税金を納めているのであれば、会社のように財務諸表といわれる貸借対照表や損益計算書を
作成する義務はありません。
しかし、1年間に生じた所得金額を正しく計算し税金の申告をするためには、収入金額 や必要経費に関する日々の取引の状況を記帳し、
また、取引に伴い作成したり受け取ったりした書類を保存しておく必要があります。きちんと書類を保存し、記帳していれば、
税金を申告する際の所得金額の計算も間違いが少なくなります。
そこで、一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告をする人については、
所得金額の計算などについて有利な取扱いが受けられる制度が設けられています。それを青色申告の制度といいます。
青色申告をすることができる人は、 不動産所得、事業所得、山林所得のある人です。
(1) 青色申告特別控除
最高65万円を所得から控除
(不動産所得又は事業所得、複式簿記により記帳、貸借対照表と損益計算書を添付、期限内に申告の場合)
簡易的な申告の場合やそれ以外の青色申告者・・・最高10万円を所得から控除
(2) 青色事業専従者給与
親族等に支払った給与は原則費用にできませんが、
青色事業専従者給与は費用として認められます。
■青色事業専従者とは
①青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること。
②その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること。
③6月超、その青色申告者の営む事業に専ら従事していること。
④「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出していること。
なお、青色事業専従者として給与の支払を受ける人は、税金の計算上、控除対象配偶者や扶養親族にはなれません。
※青色申告者ではない白色告者の場合には、事業専従者控除があります。
(3) 貸倒引当金
売掛金、貸付金などの貸金の貸倒れによる損失の見込額である貸倒引当金を必要経費として認めるというものです。
(4) 純損失の繰越し
事業所得などに損失(赤字)の金額がある場合、その損失額を翌年以後3年間にわたって繰り越して、
各年分の所得金額から控除できるというものです。
※純損失の繰戻還付(純損失の繰戻しによる還付)
前年に引き続いて青色申告をしている人は、純損失の金額を前年分の所得に繰り戻して控除し、
前年分の所得税の還付を受けることもできます。
(原則)年末に貸借対照表と損益計算書を
作成することができるような正規の簿記による
(特例)現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳のような帳簿を備え付けて簡易な記帳をする
原則として7年間保存(一部は5年間)
(1) 原則
青色申告の承認を受けようとする年の3月15日まで
(2) 新規開業した場合(その年の1月16日以後に新規に業務を開始した場合)
業務を開始した日から2ケ月以内
(3) 相続により業務を承継した場合(その年の1月16日以後に業務を承継した場合)
業務を承継した日から2ケ月以内
※被相続人が青色申告をしていた場合
(死亡の日がその年の1月1日から8月31日)・・・死亡日から4ヶ月以内
(死亡の日がその年の9月1日から10月31日)・・・死亡した年の12月31日
(死亡の日がその年の11月1日から12月31日)・・・翌年2月15日
事業所得や不動産所得がある場合などには、青色申告制度を利用した方が良いでしょう。
少しでも控除を受けることができますし、様々な優遇制度も白色申告では利用できないこともあります。 まだ白色申告をしている場合には、検討してみましょう。 |