個人が土地等を収用等されることにより取得する補償金には、いろいろな名目の補償金がありますが、それらにも税金が課税されます。
これらの補償金は、次のように分類され、それぞれの課税区分が決まっています。
1 収用等された資産の対価となる補償金:対価補償金
→譲渡所得又は山林所得。収用等の場合の課税の特例の適用があります。
2 資産を収用等されることによって生ずる事業の減収や損失の補てんに充てられるものとして交付される補償金:
収益補償金
→不動産所得、事業所得又は雑所得。(交付の基因となった事業の態様に応じます)
※ただし、建物の収用等を受けた場合で建物の対価補償金がその建物の再取得価額に満たないときは、
収益補償金のうちその満たない部分を対価補償金として取り扱うことができます。
3 事業上の費用の補てんに充てるものとして交付される補償金:経費補償金
→(イ) 休廃業等の補てんに充てる補償金・・・不動産所得、事業所得又は雑所得。
(ロ) 収用等による譲渡資産以外の資産(たな卸資産を除きます。)についての損失補てんに充てる補償金・・・
山林所得又は譲渡所得。
※ただし、事業を廃止する場合等でその事業の機械装置等を他に転用できないときに交付を受ける経費補償金は、
対価補償金として取り扱うことができます。
4 資産の移転に要する費用の補てんに充てるものとして交付される補償金:移転補償金
→その交付の目的に従って支出した場合は、その支出した額については、総収入金額に算入されません。
その交付の目的に従って支出されなかった場合又は支出後に補償金が残った場合、一時所得。
※ただし、建物等を引き家又は移築するための補償金を受けた場合で実際にはその建物等を取り壊したとき及び移設困難な機械装置の補償金を
受けたときは、対価補償金として取り扱うことができます。また、借家人補償金は、対価補償金とみなして取り扱われます。
5 原状回復費、協力料などの補償金:その他の補償金
→その実態に応じ、各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入します。
ただし、改葬料や精神的補償など所得税法上の非課税に当たるものは課税されません。
土地収用法やその他の法律で収用権が認められている公共事業のために土地建物を売った場合には、収用などの課税の特例が受けられます。
この特別控除の特例は、同じ公共事業で2年以上にまたがって資産を売るときは最初の年だけしか受けられません。
この課税の特例は次の2つがあります。公共事業のために土地建物を売った場合は、これらの2つの特例のうち、
どちらか一方の特例を受けることができます。
1)対価補償金等で他の土地建物に買い換えたときは譲渡がなかったものとする特例
(収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例)
(租税特別措置法第33条)
売った金額より買い換えた金額の方が多いときは所得税の課税が将来に繰り延べられ、売った年については譲渡所得がなかったものとされます。売った金額より買い換えた金額の方が少ないときは、その差額を収入金額として譲渡所得の金額の計算を行います。
《要件》
①売った土地建物は固定資産であること。不動産業者などが販売目的で所有している土地建物は、固定資産にはなりません。
②原則として、売った資産と同じ種類の資産を買い換えること。
③原則として、土地建物の収用等のあった日から2年以内に代わりの資産を取得すること。
(2)譲渡所得から最高 5,000万円までの特別控除を差し引く特例
(租税特別措置法第33条4)
《要件》
①売った土地建物は固定資産であること。
②その年に公共事業のために売った資産の全部について収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例を受けていないこと。
③買取り等の申出があった日から6か月を経過した日までに土地建物を売っていること。
④公共事業の施行者から最初に買取り等の申し出を受けた者(その者の死亡に伴い相続又は遺贈により当該資産を取得した者を含みます。)
が譲渡していること。
■公共事業の施行者から受けた公共事業用資産の買取り等の申出証明書や買取り等の証明書など一定の書類を
付けることが必要です
収用の際には、多くの書類があり、またその書類には難しい用語が並び、困惑する方もおおくいらっしゃいます。 公共事業者や税理士に早めに相談し、よりよい税金の払い方や土地の使い道をご検討いただきたいと思います。 |