相続した株式を売却した場合には、ご自身が所有する株式を売買した場合と同様の譲渡所得税がかかります。
株式等を譲渡した場合は、他の所得と区分して税金を計算する「申告分離課税」となります。
また、特定口座制度などを利用することもできますし、損益通算や譲渡損失を繰越控除する特例も同様に利用できます。
譲渡の形態 | 平成21年分~平成25年分 | 平成26年分~ |
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金融商品取引業者等を通じた 上場株式等の譲渡 | 10% (所得税7%、住民税3%) | 20% (所得税15%、住民税5%) |
上記以外の譲渡 | 20% (所得税15%、住民税5%) | 20% (所得税15%、住民税5%) |
この特例は、相続により取得した株式などを、一定期間内に譲渡した場合には、
相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができるというものです。
(1) 特例を受けるための要件
①相続や遺贈により財産を取得した者であること。
②その財産を取得した人に相続税が課税されていること。
③その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること。
(2) 取得費に加算する相続税の額
株式などを売った人にかかった相続税額のうち、譲渡した株式などに対応する額
■ 相続によって取得した資産の取得の時期
相続で取得したときは、死亡した人の取得の時期がそのまま取得した人に引き継がれます。
(1) 特定口座制度
■■ 被相続人が特定口座を開設していた場合 ■■
被相続人(亡くなった人)が開設していた特定口座にある上場株式等を相続した相続人(相続を受ける人)は、
その上場株式等をその相続人の特定口座に受け入れることができます。
これは、被相続人の特定口座が開設されている証券会社と相続人の特定口座が開設されている証券会社が異なっている場合も同様です。
●手続き・・・相続人が被相続人の特定口座が開設されている証券会社の営業所に対して、「相続上場株式等移管依頼書」を提出して、移管の依頼を行う。
■■ 被相続人が一般口座だった場合 ■■
被相続人(亡くなった人)が開設していた一般口座にある上場株式等を相続した相続人は、
以下の手続により、その上場株式等をその一般口座が開設されている証券会社に開設されている相続人の特定口座に受け入れることができます。
●手続き・・・相続人が被相続人の一般口座が開設されている証券会社に対して、
「相続上場株式等移管依頼書」を提出し、移管の依頼を行う。(注1:租税特別措置法施行令第25条の10の2第15項第3号参照)
《添付書類》
①「相続上場株式等の取得の日及びその取得に要した金額を証する書類」
②「1単位当たりの取得価額(注2)に相当する金額を記載した明細書」
(当該被相続人が当該相続上場株式等の取得をした年月日、種類、銘柄、数、取得に要した金額等の記載がある
ものに限ります。)
※税法上、「被相続人の一般口座が開設されている証券会社」と「相続人の特定口座が開設されている証券会社」が
同じ証券会社の場合にのみ認められており、証券会社が異なっている場合には、特定口座への受入れはできませんのでご注意ください。
※被相続人の特定口座から相続人への一般口座への相続による移管については、税法上の制限はありません。
※お取引している証券会社によって、対応が違います。ご注意ください。
※一般口座から特定口座に受け入れる際の取得価額
特定口座に受け入れる際の当該相続上場株式等の取得価額は、発行会社又は株主名簿管理人が発行する株式異動証明書等を
「相続上場株式等の取得の日及びその取得に要した金額を証する書類」とする場合、
当該書類に記載された相続上場株式等の取得の日の市場価格の終値を基礎として計算された価格が取得価額となります。
ただし、相続上場株式等の名義書換の日が、当該相続があった日前10年以内の日であるものは、
当該名義書換の日の市場価格の終値は利用できませんのでご注意ください。
(10年以内の取引については証券会社に顧客勘定元帳が備えられています。
<参考>上場株式等の取得価額の確認方法(国税庁HP))
※証券会社によって必要書類や認められる書類が異なる場合がありますので、お手続きの際には各証券会社にご確認ください。
被相続人が複数回にわたって取得した同一銘柄の株式について相続を受け、相続人の特定口座に受け入れる際の取得価額は、
総平均法に準ずる方法により計算します。
(2) 上場株式等に係る譲渡損失と申告分離課税を選択した配当所得との通算
相続した株式等と相続以前から所有していた株式等と合わせて通算することができます。
(3) 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除
相続人が相続以前より所有していた他の株式等の譲渡損失と相続した株式等にかかる譲渡益と損益通算することもできます。
(4) 破産等により株式の価値が失われたときの特例
株式の相続手続きについては、様々な場合があり、証券会社に相談しながら手続きを進めるのが一番です。
ただし、その中で一番難しいのが、特定口座で引き継ぐか、一般口座で引き継ぐかという問題です。 今まで株式運用等をしたことがない方には、同じ証券会社で特定口座を作り、その口座に移管するのが一番わかりやすいかもしれません。 特定口座の源泉徴収あり口座にすれば、確定申告の必要はありません。 1株未満の端数株式を売却する際にも、証券会社に口座を開くことが必要になります。手続きに不安がある方は、ご相談ください。 |