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相続こぼれ話 (3)相続人一人なのに遺言を作っていた!

 ある信託銀行の話です。

 法定相続人が1人であれば、その唯一の相続人が全ての遺産を引き継ぐことになりますから、遺産分割協議書は不要です。 相続人のうちの1人を残して、他の法定相続人の全員が相続放棄をした場合もこれに当てはまります。

 ある信託銀行の遺言信託で、法定相続人が一人であるにも関わらず、 「すべての財産を○○に相続させる」という内容の遺言を作っていました。 遺言を作らなくても、相続人が一人なので、すべてを一人で相続することになります。
 ではどうして遺言を作成したのでしょうか?

 遺言執行者を信託銀行としたかったために、遺言を作成したのです。 信託銀行の遺言執行手数料はかなりの高額です。 この手数料を取るために、「相続手続きはお一人では大変でしょうから」などと営業をかけたのでしょうか。
 遺言は、法定相続人全員が遺言を執行しないと決めれば、遺言はなかったこととして遺産分割協議で分割を決めることができます。 この方の場合には、遺言を破棄し、ご自分で相続手続きをしました。ただし、信託銀行から、違約金を請求されたそうです。
(民法第907条) 条文を確認!

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