相続税の計算において、小規模宅地等の特例を選択する場合などに、『同居』が問題になることがあります。
同居親族とは、相続開始の直前においてその家屋で被相続人と共に起居していたものをいい、
その建物が構造上数個の部分に区分される1棟の建物で、被相続人がその独立部分の一に居住していた場合には、
その独立部分において被相続人と共に起居していたものをいいます。
原則として、『共に起居』していなければ、同居親族に該当しないということです。
ただし、二世帯住宅へ建て替えても同居として、小規模宅地等の特例を受けることは可能です。
要件は、次の3つの要件です。
①構造上各独立部分が完全に区分されている二世帯住宅の全部を、被相続人または被相続人(父親)の親族が所有していること
②小規模宅地等の適用を受ける親族は、被相続人が相続開始の直前において居住の用に供していた独立部分以外の独立部分に居住していること
③被相続人に配偶者がいないこと、または被相続人に居住の用に供していた独立部分にともに同居していた被相続人の親族がいないこと
この場合は、ドアをつけて行き来できるようにしなくても大丈夫です。 ただし、被相続人は独立部分で一人暮らししていて、
被相続人とその配偶者が健全なうちに二世帯住宅へ建て替えると、配偶者以外の相続人は特例を受けられなくなる点に留意が必要です。
それでは、親子の世帯で行き来できる二世帯住宅であれば大丈夫でしょうか?
被相続人とその配偶者が健在の二世帯住宅であっても、構造上の区分がされず、親子の世帯で行き来できるような設計であれば、
そもそも上記3要件を満たしていなくても、親子は同居に当たると言われています。
その場合でもどんな場合でも、原則の『共に起居』していることが本来は必要となってくるので、
トビラや渡り廊下だけでは絶対に大丈夫ではないということに注意してください。
(参考通達)(被相続人の居住用家屋に居住していた者の範囲)
69の4-21
措置法第69条の4第3項第2号イに規定する当該被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた者とは、
当該被相続人に係る相続の開始の直前において当該家屋で被相続人と共に起居していたものをいうのであるから留意する。
この場合において、当該被相続人の居住の用に供されていた家屋については、当該被相続人が建物でその構造上区分された
数個の部分の各部分(以下69の4-21において「独立部分」という。)を独立して住居その他の用途に供することができるもの
(以下69の4-21において「共同住宅」という。)の独立部分の一に居住していたときは、当該独立部分をいうものとする。
なお、同号イに規定する親族で、被相続人の居住に係る共同住宅(その全部を被相続人又は被相続人の親族が所有するものに限る。)の
独立部分のうち被相続人が当該相続の開始の直前において居住の用に供していた独立部分以外の独立部分に居住していた者がいる場合
(当該被相続人の配偶者又は当該被相続人が居住の用に供していた独立部分に共に起居していた当該被相続人の民法(明治29年法律第89号)
第5編第2章に規定する相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)がいない場合に限る。)
において、その者について同号イに規定する当該被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた者に当たる者であるものとして
申告があったときは、これを認めるものとする。(平20課資2-1、課審6-1改正)
(注) 措置法第69条の4第3項第2号ロに規定する被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた親族についても、
上記に準じて取り扱う。
税金の特例を使うために思考錯誤する場合には、
原則は何か、法律ではどう決められているのかを確認することが必要となります。 同居は、「共に起居」することが基準となります。自分のご家庭は原則に当てはまっているかどうかご検討ください。 |