相続こぼれ話 (7)相続人が海外に住んでいる場合、印鑑は?

 相続で作成する遺産分割協議書には、相続人全員が署名および実印による押印をし印鑑証明書を添付します。 しかし、印鑑証明書は、住民票の登録がある市区町村に印鑑登録をしている必要があります。 そのため、海外に在住していて日本に住民登録が無いときには、日本で印鑑証明書を取得することができません。

 こういった場合、遺産分割協議書はどうやって作成したら良いでしょう?

 海外に住んでいる人の場合、日本の印鑑証明書に代わるものとして、署名証明(サイン証明)が利用されます。 署名証明は、在外公館(大使館など)に発行してもらいます。

■在外公館(外国にある日本国大使館、総領事館)における証明について■
※平成21年4月1日より,署名証明書の様式等が変更となりました。 主な変更点としては,これまでの証明書上の様式では記載のなかった署名者の身分事項の項目(生年月日,日本旅券番号)が加わりました。
<注意事項>
(1)日本国籍を有する方のみ申請ができます。
※元日本人の方に対しましては,失効した日本国旅券や戸籍謄本(または戸籍抄本)(もしくは除籍謄本(または除籍抄本))をお持ち頂ければ 遺産相続手続きや本邦にて所有する財産整理に係る手続きに際し,署名証明を発給できるケースもありますので, 発給条件,必要書類等は証明を受けようとする在外公館に直接お問い合わせください。
(2)領事の面前で署名(及び拇印)を行わなければならないので,申請する方ご本人が公館へ出向いて申請することが必要です。 代理申請や郵便申請はできませんのでご注意ください。

<必要書類>
(1)日本国籍を有していることが確認できる書類(有効な日本国旅券,本邦公安委員会発行の有効な運転免許証)
(2)遺産分割協議書など、日本より送付されてきた署名(及び拇印)すべき書類
※署名は領事の面前で行う必要がありますので,事前に署名をせずにお持ちください。 なお,事前に署名(及び拇印)をされた文書をお持ちになった場合は,事前の署名(及び拇印)を抹消の上, 領事の面前で改めて余白に署名(及び拇印)して頂くことになります。

<手数料>
1通につき邦貨1,700円相当です。お支払いは現金(現地通貨)となります。

<申請時の留意点>
本人の署名を証明するのは,基本的には現地の公証人です。外国籍者は現地の公証人に依頼することになります。
領事官が,公証人のようにあらゆる私文書について申請者の署名を証明することができるわけではありません。 この署名証明は,あくまで海外にお住まいの日本人が印鑑証明を必要とする際に,印鑑証明の代わりに発給されるものです。

(備考) 在外公館でも印鑑証明を取り扱っていますので,同証明を希望される場合には, 申請先の在外公館に必要書類等あらかじめお尋ねください。

 それぞれの大使館などによっても違いがあるそうですので、 大使館を訪れる前に、連絡を入れて必要事項等を確認の上、対応の程お願いいたします。