相続後の税金 (1)相続後の年金の税金(公的年金)

 年金には国民年金や企業年金、その他個人年金保険契約に基づく年金など様々な種類の年金があります。 死亡した人から遺族の方が取得する年金受給権については、年金の種類などによって相続税の課税が異なります。

 厚生年金や国民年金などを受給していた人が死亡したときに遺族の方に対して支給される遺族年金は、 原則として所得税も相続税も課税されません。 また、死亡したときに支給されていなかった年金を遺族の方が請求し支給を受けた場合は、その遺族の方の一時所得となり、 相続税はかかりません。

※1 次の法律に基づいて遺族の方に支給される年金や恩給は、所得税も相続税も課税されません。
 国民年金法、厚生年金保険法、恩給法、旧船員保険法、国家公務員共済組合法、 地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法、旧農林漁業団体職員共済組合法
※2 遺族の方に支給される以下の年金などは、相続税の課税の対象になりますが、毎年受け取る年金には所得税が課税されません。
(1) 確定給付企業年金法第3条第1項に規定する確定給付企業年金に係る規約に基づいて支給される年金
(2) 所得税法施行令第73条第1項に規定する特定退職金共済団体が行う退職金共済に関する制度に基づいて支給される年金
(3) 法人税法附則第20条第3項に規定する適格退職年金契約に基づいて支給を受ける退職年金

代表的なものをまとめるとこんな感じです。

■厚生年金や国民年金の遺族年金
 所得税も相続税もかかりません
■確定給付企業年金法などに基づく遺族年金
  相続税がかかりますが、所得税はかかりません
■未支給分の年金を受け取った時
 受け取った相続人の一時所得

※ 未支給の年金・保険給付を受けることができる方には順位が決まっています。
(国民年金・厚生年金保険・船員保険)
死亡した受給権者と生計を同じくしていた配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹等
(共済年金)
1. 死亡した受給権者と生計を同じくしていた配偶者、子、父母、孫、祖父母
(子または孫は、18歳に達する日以後の最初の3 月3 1 日までの間にあって配偶者がいない人ま たは組合員であった人の死亡当時から引き続き障害等級の1級もしくは2級に該当する障害の状態にある人)
2. 上記1以外の死亡した受給権者の相続人
(配偶者、子、孫、父母、祖父母、兄弟姉妹等)
◇ 自分より先順位者がいる場合は、未支給年金を受けることはできません。 同順位者が2名以上ある場合は、そのうちのだれか1名が代表して未支給請求をします。

追記:年金に「相続する」という考え方はありません。 死亡後、「遺族年金」に変わり、その遺族年金に受け取れる受給権者が決められていて、その受給権者が遺族年金を受け取ることができます。 だから相続放棄をして相続人ではなくなったとしても、遺族年金の受給権者として要件が整えば、遺族年金を受け取ることができます。

 『遺族年金』は、残された家族の大事な生活を支える資金です。しっかりと手続きをして、正しく受給するようにしましょう。