相続税申告 (14)相続税申告は税務調査が多いってホント?

 相続税申告が必要な方は、相続が発生した方のうち約4%程度です。 その中の約30%に税務調査が入り、またそのうちの80%以上で申告漏れが指摘されるという現状になっています。
 他の税目に比べると、極めて高い割合です。

 それでは、どんな財産の申告漏れが指摘されることが多いのでしょうか?
1位:現預金 2位:土地 3位:有価証券
 土地については、「土地の評価ミスが主な原因」と税務署側から発表されていますので、 多くの申告漏れは、現預金や有価証券などの金融資産であることが分かります。

 税務署は、過去提出してきた確定申告書や贈与税申告書、また提出された支払調書などから、 将来の相続税申告の資料となる情報を収集しています。例えば、下記のような情報が分かります。

 ① 配当所得・利子所得がある→株等を保有している
 ② 不動産所得がある→不動産がある
 ③ 譲渡所得がある→その資金を何に使ったかをみる
 ④ 生命保険料控除がある→将来、生命保険金がおりてくる
 ⑤ 税金の振込の口座→その銀行に取引があるのではないか
 ⑥ 財産及び債務の明細書(所得金額が2,000万円を超える場合等)→財産・債務の内容の把握
 税務署では、相続税の申告書が提出されると、上記のような資料情報との照合を行ったり、 被相続人とその家族全員について金融機関等の取引を、3~5年間分照会し、金融資産についての漏れが無いかを検討します。 そこで、問題があれば、税務調査になります。

 【このような場合に税務調査が考えられます】
◆死亡する前多額の配当収入があったにもかかわらず、株式等の申告が少ないなど
◆死亡する前多額の地代、家賃等の収入があったにもかかわらず、土地・家屋等の申告が少ないなど
◆現金、預貯金、株式などの申告が全く無いもの
◆多額の借入金や未払金の申告がありながら、これに見合う財産の申告がないもの
◆生前の所得状況から推定し金融資産の少ないもの・生前の収入が相続財産に反映していないもの
◆申告した財産に比べて、葬式費用の金額が多額であるもの
◆家族名義の預金等のチェックや申告が行われていないもの

 税務調査には、任意調査と強制捜査(マル査)があります。 いくら任意調査といえども、不答弁(税務署員の質問に対して答弁しないこと)、及び検査拒否等 (税務署員の帳簿検査について帳簿を見せない等)については、罰則が規定されています(一年以下の懲役又は20万円以下の罰金)。

 税務調査に慣れている納税者はほとんどいません。 特に相続税の税務調査は、長い人生の中で多い方でも数回しか経験することはないでしょう。 税務調査で緊張しておしゃべりになってしまい、つい余計なことまで話して問題が起きてしまったなんていうこともあります。
 当事務所で相続税申告をしていただいた場合で、税務調査になった場合には、納税者の方に 税務調査の前に事前準備と事前練習をしていただいて、調査に備えるようにしています。
 正しく相続税申告を行っていれば、税務調査は怖くないのです。安心して当事務所にお任せいただければと思います。