生前対策 (17)養子縁組の効果

 相続税の節税に「養子縁組」が利用されているということが言われます。

養子を増やす事により、法定相続人(制限あり※)の数が増え、相続税の基礎控除額(5,000万円+1,000万円×法定相続人の数)が増えます。
相続税は累進課税であるため、相続人が増えることにより、実効税率を下げる事ができます。
生命保険金・退職手当金の非課税枠も増えます。
『飛ばし相続』効果が期待できます。

※ 実子がある場合には養子の数は1人、実子がない場合には2人に限ります。(相続税法15②)
 簡単に言えば、養子縁組をすると相続人が増え、 相続税の計算上の基礎控除額や生命保険等の非課税額が増えたりして、 計算上有利なことが増えるからです。
 相続税の実行税率も下がります。
 また孫養子にした場合には、『飛ばし相続』といって、 祖父母世代から一気に孫世代に財産を飛ばして、相続税を節税することも可能です。
 でも、養子縁組をするのもなかなか気を使うものです。

 養子縁組ってどんなものでしょう?

 通常、『養子縁組』というと『普通養子』のことをいいます。
普通養子・・・一般の養子。 養子縁組後も,養子と実親との親子関係は存続します。親が4人になるというイメージです。 届出により離縁ができます。
届出人養親及び養子(15歳未満のときは法定代理人)
届出の効力届出をした日から効力が発生します
届出場所養親若しくは養子の本籍地,又は住所地
必要なもの・養子縁組届書(20歳以上の証人2名が必要です)
・印鑑
・届出地が本籍地でない養親・養子の戸籍謄本または抄本
(自己または配偶者の直系卑属を養子とする時は不要)
・本人の確認ができるもの(官公庁発行の身分証明書)
※戸籍上は養親(ようしん)との関係は「養子」と記載されます(民法792条~817条)。
(注)未成年者を養子とするときは、家庭裁判所の許可が要ります。(ただし、自己又は配偶者の直系卑属を養子とするときは、家庭裁判所の許可は要りません)。養子縁組届に必要な証人は成人しているかたならどんな関係のかたでもかまいません。


※特別養子は、当事者の合意ではなく,養親となる者の請求で家庭裁判所の審判によって成立します。この場合養子は実子となり,実父母との親子関係は終了します。 又、特別養子縁組は原則として離縁できません。

Q. 養子縁組したら、養子の姓はどうなるの?
養子は原則、養親の姓を名のることになります。(民法810条)   ただし、結婚によって姓の変わった者(一般的には妻)が、養子に なった場合は、その結婚が続いているうちは、結婚による姓(夫の姓)が 優先します。 逆に、結婚によって姓の変わらなかった者(一般的には夫)が 養子になる場合は養親の姓を名のります。この場合、夫の姓が養親の姓 に変わるので、妻の姓も当然に養親の姓になります。

 養子縁組は、結婚と似ています。紙一枚で、縁組したり離縁したりできます。相続税を引き下げたい場合には、紙一枚で、税金を下げることができるというすごい効力を発揮します。
 ただ、やはり養子縁組もご家族の問題です。一言も断りなく家族が増えていた!なんてことがあったら、普通びっくりしてしまいます。心の問題にケアしながら、養子縁組の検討をしましょう。