相続税申告 (20)非上場株式等についての相続税納税猶予
(注)改正が入っています。修正まで今しばらくお待ちください。

 親族に相続で自社株を移転した場合に、発行済株式総数の2/3を限度として納税猶予制度を適用できます。
発行済株式総数の2/3のうち後継者の現在保有分を除いた部分が納税猶予対象株式 対象株式の80%に対する7相続税を納税猶予 (租税特別措置法第七十条の七の二) 条文を確認!

 また、適用する際には様々な要件が必要です。
前提条件 後継者が決まっていること (1)経済産業省の確認申請をしている 
          (2)公正証書遺言を作成している(後継者=役員。50%超を保有するように作成)(3)例外 被相続人が60歳未満である 
          → 納税猶予制度の適用要件 ①会社の要件 ②先代経営者(株を渡す人)の要件 ③後継者(株をもらう人)の要件 
          → 納税猶予 適用 → 5年間の事業継続要件※従業員の8割の雇用維持要件など 
          → 株式保有要件・会社継続要件 → 受贈者が死亡 → 猶予税額免除

①会社の主な要件
イ 経済産業大臣の認定を受けた中小企業者であること
ロ 常時使用する従業員が1人以上(一定の外国会社株式等を保有している場合には5人以上)であること
ハ 資産保有型会社又は資産運用型会社で一定のものに該当しないこと
ニ この会社及びこの会社と密接な関係がある会社(特定特別関係会社(注))が非上場会社であること
ホ この会社と特定特別関係会社が風俗営業会社ではないこと
ヘ この会社と特定特別関係会社が中小企業者であること
ト 相続の開始の日の属する事業年度の直前の事業年度の総収入金額が0円ではないこと
チ 経営承継相続人等以外の者が拒否権付き株式を有していないこと
リ 相続の開始前3年以内に受けた現物出資等資産の割合が総資産の70%未満であること
(注)「特定特別関係会社」とは、この会社並びにこの会社の代表権を有する者、 代表権を有する者と生計を一にする親族等及びこれらの者と特別の関係のある会社により、 その株式の議決権の過半数を保有される会社をいいます。

②先代経営者である被相続人の主な要件
イ 会社の代表権(制限が加えられた代表権を除きます。)を有していたこと
ロ 相続の開始直前において、
  被相続人及び被相続人と被相続人の親族など一定の者で総議決権数の50%超の議決権数を保有し、かつ、 被相続人が保有する議決権数が後継者以外の者の中で最も多くの議決権数を保有していたこと

③経営承継相続人等の要件
イ 相続開始の直前に役員であったこと
ロ 相続開始の日の翌日から5か月を経過する日において会社の代表権を有していたこと
ハ 相続人及び相続人と相続人の親族など一定の者で総議決権数の50%超の議決権数を保有し、かつ、 これらの者の中で最も多くの議決権数を保有することとなること
ニ 相続税の申告期限まで相続等により取得した非上場株式等の全てを保有していること

5年間の事業継続要件・株式保有要件・会社継続要件が適合しなくなった場合には猶予税額を納付しなければなりません。 具体的には次の場合に該当する場合などです。
(1) 申告期限後5年以内に、経営承継相続人等が代表権を有しないこととなった場合
(2) 申告期限後5年以内の一定の基準日において常時使用する従業員の数が8割を維持できなくなった場合
(3) 総収入金額が零となった場合
(4) 申告期限後5年以内に、経営承継相続人等らが保有する議決権割合が50%以下となった場合
(5) 申告期限後5年以内に、経営承継相続人が筆頭株主でなくなった場合
(6) 経営承継相続人等が特例の対象となっている非上場株式等を譲渡等した場合
(7) 資産保有型会社又は資産運用型会社で一定のものに該当した場合

 会社を経営している場合、自社株式は売ることが困難にもかかわらず、高額な相続税評価額が算出され、納税に困ってしまうということがあります。
 この非上場株式等の相続税の納税猶予制度は、とても厳しい要件にはなりますし、 まだ改善の余地はあるものの、会社を継続していく意思のある後継者にとっては、待ちに待った制度です。
 適用するかどうかは相続が起こった時に判断することもできます。ただし、 前提条件となる事前準備だけは生前に行っておかないと、いざという時に、この制度を利用することはできません
 会社の経営者の方には、この制度の事前準備を是非お勧めいたします。